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叡知

ViViとキーボード(論理)

論理配列図

現状の論理配列はこう!

QWERT をベースに、キーボードの物理配列や入力上の便宜などを考慮して一部が変化しています。

補足

ただしこれは US 向けのレイアウトツールなので、主に記号関連において、見た目と実際の入力が異なる部分が多々あります。 あと、 AHK 経由で挙動を定義している箇所もあります。

そうした点を補正すると、だいたいこうなります(厳密ではないですが)。

左サムクラスタ( Enter, BackSpace, Space )

一般的な日本語入力において、きわめて高頻度でもちいるキーが Enter, BackSpace, Space の3つです。 なんならわたしは日本語以外を入力することもかなり多い(日本語より日本語以外を入力することが多い日や、日本語をほとんど入力しない日すらありうる)ですが、それでもキーごとの打鍵頻度でいうと、高いほうから Enter > A > BackSpace > Space > ... です。

つまりこの3つのキーを円滑に入力できることは、入力の効率においてきわめて重要です。文字領域を工夫するだのしないだのは、この3つのキーの便宜を高めることにくらべれば些事だと思います。

というわけで左サムクラスタです。 左サムクラスタに Enter, BackSpace, Space の3つを配置することで、ほぼいかなる時からでも(わたしはマウスが右側なので、マウスを操作しているときですらも)この3つを最速で打鍵できます。(ポインティングデバイスが左側のひとは右サムクラスタに置くのがいいと思います)

( Space はまだしも) Enter と BS が右側の僻地にあるような物理配列は話になりません。サムクラスタを導入しましょう。

サムクラスタ≒親指領域であること

これらのキーをサムクラスタに置くということは、文字領域内に置かないということでもあります。

Space をシフトに使うような配列をさておけば、これらのキーが語句の入力に混ざり合うことはふつうありません。たとえば英語であれば語の区切りごとに Space を打ちますが、それでも語の入力と混ざり合ってはいません(語を入力して、 Space を挟んで、次の語の入力が始まる)。

だから、これらのキーを文字領域――文字領域をあつかうための指の担当――に置くことには理がないんですよね。文字領域(を担当する指であつかえる位置)を圧迫してこれらを置く意味がなく、サムクラスタに置くのが最も理にかなっているわけです。

F13, F14

F13 が IME OFF 、 F14 が IME ON です。

空いているところ

最近の変更で空きました。

QWERT (余談)

そういえばわたしは QWERTY のことを QWERT と呼びます。 なぜなら左右分割で左側にあるのは T までだからです。

(逆に、一体型のひとが使っている QWERTY のことは QWERTY と呼びます)

ViViとキーボード(物理)

わたしとキーボードの付き合いをまとめておきます。

現在のキーボード

ここしばらくは Ergodox EZ を使っています。

ergodox-ez.com

わたしははんだ付けだの何だのをしたくないので、現時点における自作キーボード方面の選択肢はかなりせまく、結果的に(現時点では)これがベストという感じになっています。

遍歴

無頓着期

多くのひとがそうであるように、キーボードに頓着していなかった時期があり……あったか? あんまり記憶がない。

カニカルキーボード初期

多くのキーボードマニアがそうであるように、メカニカルキーボードに移行しました。

具体的な型は覚えていませんが、採用したのはFILCOのやつで、これはかなり快適でした。 配列の問題を無視すれば、今の感覚で見てもわりとイイ感じといえる部類のような気がします。

ゲーミングキーボード期

ゲームにおける高速入力が尋常のキーボードでは正確にできなかったので、ゲーミングキーボードに手を出しました。

副産物的にEN配列に接することになりました。いうてそんなに変わるわけではありませんでしたけども。 (といいつつ、今までのキーボードもつないでおいて、がっつり日本語を打つときは旧キーボードを使ったりしていました)

あと、このときからRAZERのデバイスを好んで使う傾向が生じました。 ゲーミングキーボードを何回か乗り換えていますが、ぜんぶRAZERのやつです。

左右分割期

キーボードが壊れたかなんかして、当座を妥協的なキーボードでしのいでいたんですが……、当時、ロールプレイングゲームにおけるキレの不足を感じていました。

そこでわたしは思いました。こんな惰弱なキーボードを使っているからキレが悪いのだ! と。

そして左右分割キーボードに移行しました。 ここで採用したのがErgodox EZで、つまりは現行機です。

物理配列のカテゴリとしては、これまで「左右一体型・ロウスタッガード」だったのが、ここで「左右分割型・カラムスタッガード(オーソリニア気味)」に転換したことになります。

その他のキーボード

前述の遍歴のうち、けっこう長い期間にわたって、作業の都合から“自分で用意したものではないキーボード”を使う機会がかなり、まあ一般的な配列の一般的なモデルはだいぶさわっています。 なんなら、物理的な接触時間だけでいえば、ありふれた配列のパンタグラフをさわっていた時間がいちばん長いかもしれません。

あとは(やはり作業の都合から)Macのキーボードを使ったこともありますし、はなはだ不本意ながらノートパソコンのキーボードを使わざるを得なかったこともあります(はなはだ不本意ながら!)。

方式でいうと、静電容量無接点式は使ったことがありません。(多くのメカニカルキーボードの愛好家がそうであるように……)

Moonlander

Ergodox EZ に移行してからしばらく後、移動先で作業をする必要にせまられて、 Moonlander を購入しました。 ふつうのキーボードで作業をするのが……信じられないくらい……わずらわしくて……。(あんな不自由なキーボードで作業をしているやつらにはやる気が足りない)

www.zsa.io

これは Ergodox EZ の後発姉妹モデルで、おおむね似たデザインを踏襲しつつ、持ち運びでの運用を想定したものです。 キー数が Ergodox EZ からすこし減っていて、それを主な理由として普段遣いには至っていません。 (どうしてあそこのモデルは後発になるたびにキー数が減るんですかね……困る……)

入力カスタム記録 4/2 版

またいくつか変更しました。

タイムスタンプ上はすでに四月三日ですが、これを書いていたのはきのうなので 4/2 版です。

ナカグロの再配置〚副作用あり〛

暫定的に“ HN の左”に配置していたナカグロが、(前回に書いたとおり)まるで話にならないので動かしました。

あらたな位置は、 L の右です。 今まではセミコロンがありました。

セミコロンもまあまあ使うんですが、日本語入力中はさすがにナカグロのほうが圧倒的に高頻度なので、「日本語入力時はナカグロ、英数入力時はセミコロン」になるようにしました。 (英数でのセミコロンはめちゃくちゃ高頻度なので、今までと同等を維持する必要があった)

日本語入力中のセミコロンは、“暫定的にナカグロを置いてあった場所”(上述)に置きました。頻度を考えれば許容できるでしょう。

副作用として「+」が入力しづらくなりました。「+」はかなり多用するので調整が必要ですね。

ッ〚要改善〛

T+L+U 同時押しで「っ」が入力されるようにしました。

ローマ字入力における「っ」は、“続く文字があり、それが子音をもつ”かぎりはとくに入力しづらいものではない、というか入力しやすいんですが、その条件を外れる場合は順次三鍵( ltu / xtu)が必要です。

「っ」から母音に続くケースは、カタカナ語においても、まあ、さすがにそうそうないです。 アイヌ語アラビア語オーストロネシア語族、あとはいくつかの言語における固有名詞くらいでしょう。 日本語に混ぜ込むには発音しづらいので、日本語をベースにしているかぎりは、フィクション内の語句に使われるケースも多くはないはずです。

例外は『「っ」の前も後ろも同じ母音』というケースでしょうか。「あっあっ」みたいな。これは日本語に混ぜても、そこそこ自然に発音できるので、そういう字句を表現にもちいることはいくらかありますね。なんならカタカナ語のケースよりもずっと多い。

www.pokemon.co.jp

あと問題になるのは、続く文字がない(「っ」が文末であるか、続く字が記号である)ケースです。 「生きることを諦めないでッ!」とか「家畜に神はいないッ!」とか「やれッ」とか――セリフ(またはそれに準ずるモノローグ)でフレーズの末尾や間に挟んで、強調や“間”や緊迫感などを表現する用途の「っ」です。

そういったケースにおいて「っ」を順次でなく一打で入力したい気がしたので、設定してみたのですが……、 T+L+U はさすがに押しづらいですね。 L+U がしんどい。

発想は妥当なはずなので(字句のリズム上の「っ」のはたらきを考えると、同時押し一打は自然なはず)、もっとまともに押せるキーに振るように改善したいところ。

Up/Downの反転〚経過観察〛

Arrow UpArrow Down を、 Ctrl を併用したときには逆転するようにしました。 (Ctrl+UpでDown、Ctrl+DownでUp)

Arrow Up/Down は、逆側の操作と行き来することが、まあまああります。そういうとき、キーを移動するよりは修飾キーをON/OFFするほうが押しやすいような気がしました。(一部の移動操作が Shift で逆転するのと同じイメージ)

いくらか使って様子を見ます。

入力カスタム記録 4/1 版

Jorgeさんを煽りまくっていたら、「おまえも論理配列をいじれ」と煽り返されたので、キー入力関連をいろいろいじっています。
論理配列にはかぎりません。必要なのは結果であって手段ではない。結果で凌駕すれば煽りは煽りで返せますしね。

煽られてから48時間くらい経った現時点(4/1の00:30過ぎくらい)で、もうなにをやってどうだったのかの詳細な記憶がうしなわれつつあるので、ここに形式知化することをこころみておきます。

 

 

# / キーを a にする〚経過観察〛

最初に、 / キー(ふつう右下にあるやつ・ピリオドと右Shiftのあいだ)の単打で、「 a 」を入力できるようにしました。
基本的にはふつうに A キー(左端にあるやつね)で a を入力できればよい、というのが前提のもと、ヴァリアントとして右側でも a を入力できたら何らかが捗るかと思ったので。(ごく単純に考えて、左端と右端が同時に自由を失うような状況はそうそうないはずなので、左がなんらかの理由で不自由なときのオプションとしての右 a の可能性)

 

これ自体は「まだ恩恵を実感できるほどではないが、依然として可能性を感じる」というくらい。このまま経過観察。

 

しかしはなはだしい副作用があったので、それをどうにかする必要がありました。以下。

 

# 右サムクラスタに ! および ? を追加〚いまいち〛

わたしの場合、「 ? 」はかなり高い頻度で入力する必要のある字です。(いわゆるプログラミングというやつでは、 ? がかなり多用されます。しかも、カンマ( , )なんかよりも軽い結合度で使われます。なんらかの字句 → ? → つづく字句、と入力する仮定で、思考の中断は一切あってはならない、といえるくらい。ああ、もちろん日常会話でも使いますね)

 

前述のとおり / キーを a にすると……、 Shift+/ が ? じゃなくて A になるんですよ。(当たり前ですね)


代わりの ? をどこかに置かなければならなかった。ということで、右サムクラスタ? を置きました。キーが空いていたので(こういうときにとりあえずはめ込める箇所の余裕があるというのはまあまあ大事だと思っています。キーはたくさんあるほうがよろしい)。
ついでに隣に ! を置きました。ロールプレイングゲーム上での会話だと、 ! もまあ多用しますし、 ? と組み合わせて使うことも多い。(「マジで!?」的な)

 

結果としてはよろしくなかったっすね。


サムクラスタで空いているキーなんてのは、そりゃ押しやすくないから空いているんですよ。そんなところでは ? の需要に応えられない。

 

一応そのままにしてありますが、残す積極的理由があるわけではないので、他のキーを置く理由が生じたら置換されるでしょう。

 

# 二鍵同時で '?' 〚ボツ〛

代替案として、 / + 別のもう1キーの二鍵同時で ? を入力できるようにしてみました。

 

これはあっさりとボツでしたね。(さっきも書いたように、)ことプログラミングという行為において、 ? は軽々と入力できないといけないんですよ。二鍵同時は動作として高コストすぎる。ズレて同時判定にならなかったときなんかは最悪 of 最悪です。それならサムクラスタを押しにいくほうがマシ(サムクラスタに配置した ? は単打なので、押しづらいとしてもミスることは、まあ、ない)。

 

# Shift+/ で '?' になるように〚良好〛

落ち着ついて考えましょう。
いままでは、 Shift+/ で ? を入力していたのだから、それと同じことができればいいわけですよ。

 

ということで、 / が a になるのはそのままに、 Shift+/ だけ ? になるようにしました。
これはかなりうまくいっていると思います。


AutoHotkey経由で実現しているのでなんか重たい手触りではありますが、 ? のあとには一瞬の小さな間があるものなので(コーディング的には、一般に、スペースをひとつ挟みます)、許容範囲のような気がしています。

 

# ナカグロを H の左隣あたりに配置〚要改善〛

/ を a にしてしまったことで生じた、もうひとつの問題があります。それは、そのままだとナカグロの入力ができないということです。


これは、自然言語の入力において、はなはだしい問題です。日本語において、ナカグロは、読点よりも区切りの強さが低いんですよね。「アメリカ、イギリス、フランス」と「アメリカ・イギリス・フランス」なら、後者のほうが国名間の区切りが弱いんですよ。つまり後者のほうがより流れるように入力することが期待される。よってナカグロは(ことによると読点と同等かそれ以上に)押しやすくなければならない。

 

とりあえずは H の左あたりに事実上空いていたキーがあったのでそこに押し込みましたが、これはまったくろくでもないという感想です。もっと押しやすい場所に移動させなければならない。

 

# B キーをホールドしたときに Ctrl になるように〚良好〛

今までは、 Ctrl は、 Z キーのホールドおよび / キーのホールドでした。
これはほぼほぼ不自由のない配置だと思っています。Ctrlキーを文字領域内に引っ張ってきた、というかたちですね。(Ctrlという多用する修飾キーが、外側に追いやられているのはなんとも非合理的でしょう)

 

しかし、これにはひとつだけ大きな問題がありました。
「左側だけで Ctrl+Z (一般的なアンドゥのショートカット)ができない」んですよ。

 

……というと絶望的に聞こえるかもしれませんが、案外そうでもないです。アンドゥを叩くときなんていうのはけっこうな蓋然性で一旦フローが中断されるものなので、右Ctrl( / キーのこと)+Z でもさほど実害はありませんでした(あとそもそもミスらなきゃいいんですよ・暴論)――キーボード内においては。

 

右側でマウスを使いながら、という条件がつくと、さすがに困るものがあります。
それを改めました。これからは B+Z でアンドゥができます。

 

これはよろしい感触。継続されそうです。

 

# 上下アローキーの位置を変更〚まあまあ〛

上下アローキーの位置を変えました。
サムクラスタの押しやすいところに Arrow DownL のふたつ右に Arrow Up です。

 

最初は上下逆に割り当てたんですが、なんか直感に反する感じがして誤操作が多かったので、上記のかたちに入れ替えました。それでも上下を取り違える問題は起きているんですが……習熟で解決するか構造上の改善を図るかは、ちょっと微妙なところです。

 

もともとは , キーの下に Up 、 . キーの下に Down があって、まあべつに押せなくはないんですが、使用頻度を考えるともうすこし押しやすくてもいいかと思った、というのが変更の理由です。

 

# 「」マクロ〚要観察〛

J+K 同時打鍵で、[「」を入力して確定してひとつもどる]マクロが起動するように。

 

主にロールプレイングゲームのセッション用です。
(当該環境においては、まず[セリフを入力する]という意識のもと「」を入力し、それから具体的なセリフを考えながら入力していく――という流れが多発するので、「」だけをコンパクトに入力できるとよさそうなわけです)

 

まだ設定してからまだセッションしていないので、このあと要観察。

 

いや、現状すでにちょっと誤発動しがちな疑いがある。一方をホーム段じゃないキーにしたほうがいいかも。( JK はホーム位置なので、ショートカットなり何なりで使用する頻度が一般的にいって高い)

 

# |《》マクロ〚要観察〛

J+K+L 同時打鍵で、[|《》を入力して確定してひとつもどる]という挙動が発動するように。

 

カクヨム(のそれに倣ってさまざまな環境で採用されている)ルビ記法ですね。

 

ルビの使える環境においてはかなり多用するので用意してみた。

 

# <><>→《》〚要観察〛

Shift を押しながら ,+. 同時打鍵で<>が入力されるように。(ふつうに入力するなら ,. の順番になるところを、同時でいいようにしたということ)

<><>を《》に変換できるように。(ふつうは<<>>を変換して《》にする)

 

《》はけっこう多用する(一部のロールプレイングゲームにおいてはものすごい頻度で使用されるほか、前述のルビ記法や、ある種のライトノベル的文体においては特定用語をくくるのにもちいられる)にもかかわらず、<<>>を変換するというのはダルいと思ったので(同指二連の二連続なんですよね)。

同指二連×二連続よりは二鍵同時×二連のほうがマシそうな気がしたので、この実装です。

 

そんなに悪くない気がしつつも、まだあまり使う機会が発生していないので要観察。

 

# 。。。マクロ〚一部良好〛

.+/ キー同時押しで「。。。」が入力されるように。( / は前述のとおり a になっていますが、これはコードじゃなくてキー基準で発動するので、 / キーを押すということ)

 

三点リーダーの補助用。

 

あと「。。。」から「……」(三点リーダー二倍)に変換できるようにもした。
同時による入力補助よりはこっちのほうがよく効いている。

 

# ――〚きわめて良好〛

「ーー」から「――」(倍角ダーシ)になるように。
これは配列とかキーとか関係ない純然たる辞書登録です。

とくに副作用もなく使いやすく効果が大きい。たいへん良好です。

 

# 三鍵同時で拗音〚非実用的〛

一部かな配列における「個別の音のキーの同時押しで拗音」という考え方を表面的にパクってみたやつ。

たとえば s+h+a の同時押しで「しゃ」になる、という挙動。 shark.

 

これはまったく非実用的でした。

 

かな入力なら拗音は“一音”ととらえるのが自然(なので同時打鍵一回で出せるのは合理的)なんですが……、ローマ字入力だとそうではない。「しゃ」を構成する要素として s, h, a があるのはまったく自然であり、かつ、順序にも意味があることなんですよね、ローマ字入力の世界においては。音韻や音素の観点から、「しゃ」を表現するには s → h → a と打つべきなんですよ。


なのでまったく話にならなかった。三鍵同時の運動的強度も、ローマ字入力の流れのなかではきわめて不自然です(ローマ字入力は原則的に単打)。ロールオーバー気味に順次叩いたほうが速いまであるし……。

 

# 「の」単打〚良好~経過観察〛

「の」を単打で入力できるようにしました。 Shift+N です。

 

日本語には、けっこうな頻度で使用し、しかしQWERTローマ字ではかなり入力しづらい、接続助詞が、ひとつだけあるんですよ。

そう、「ものの」(逆接の接続助詞)ですね。

 

MONONO は、すべて同手で、下段と上段にわかれ、一方が薬指列で、1キーごとに遠く離れたキーに飛ぶという性質をもつ字句です(QWERTローマ字入力においては)。左右一体型のキーボードなら局所最適化によって“同手”の部分を打開できなくもないんですが、分割型だとそうもいかない。

 

これを解決するために、 Shift+N で「の」を単打できるようにしました。

 

「の」は「ものの」にかぎらず、それ単体で多用する格助詞でもあります。
あと、ロールプレイングゲームの場においては、終助詞としての「の」も、キャラクターによっては、まあまあな頻度で使います。
それを単打できるようになったのは、けっこうな効果がある気がしています。

 

Shift の必要があることから、 no を順次打鍵するほうがマシなケースというのはまあありえて、前後の流れによってどっちで入力するほうが円滑なのかは、これからチューニングしていく必要がありそうですが。

「瀧里フユのTRPGデザイナー速習講座」要約

瀧里フユ氏の配信の内容を要約したものです。

(元の発言ママではなく、要点とおもわれる部分のみを抽出、編集しています)

 

 


 

今回は「TRPGデザイナーになるには」っていう講座をやってほしいと依頼されたので、よしやってやろう、ってこの時間をとったわけですね。


1時間で、TRPGをつくってみようっていうひとの、一番つまづきやすいポイントを、まずブレイクします。ブレイクして、「なんだオレでも作れるじゃん」ってところにもっていくのが、今回の目玉。


みんな、共有ボタンでこれ(配信のURL)をTwitterに流して、未来のTRPGデザイナーとか、「コイツがつくったシステムはぜったいオレにぶっ刺さる、だからコイツにつくってほしい」みたいなひとに送るのだ。


TRPGデザイナーになるには何をすればいいんだろう? そもそもTRPGデザイナーというのは、TRPGをつくるひとのことをいうんですけど、(つくるにあたって)いろいろと仕事があるのは知ってますよね。ルールとかデータとか世界観とかリプレイとか、あとシナリオとか、あとゲームマスターとプレイヤーも、じつはゲームをつくっているひとですね。


TRPGをつくるひとのなかでも、テーマ、ルール、世界設定やデータ、リプレイ、これら全部をつくれるひとをTRPGデザイナーといいます。


それぞれをできるひとはいっぱいいる。で、これを全部できないといけない、というとアレなんだけど。ぜんぶがぜんぶ「神級」じゃなくていいけど、「よしあし」がわかって、それを「発注できるくらいの目をもっている」必要はある。


コンセプトだけつくって、あとはすべて外注する、っていうのもアリ。


同人は自分の“好き”を全力全開で出しても(誰の利害関係とも衝突しないので)いい。商業はブレーキが必要。出版社の倫理規定とか会社の方針とか。責任が自分にあるのが同人、会社がもつのが商業。


いちばん大きな違いは、「街の本屋さんに置いてもらえるかどうか」。だから、ひろくあそんでほしいなら、商業のルートを目指すほうがいいかもしれない。


本編ここから。TRPGのつくりかたを教えていきます。フユの技術はなにも隠すつもりがありません。ぜんぶ教えたいつもりでいる。


TRPGをつくる手順としては)まず「テーマ」を設定する。テーマとは、「なにをするシステムなのか」。「どんな世界なのか」。“絶対にゆずれない部分”。ステラナイツだったら、「パートナーといちゃいちゃするシーンがめちゃくちゃやりたい!」とか、「よそよそが絡んでいるところを特等席で眺めたい」とか。


で、第ニの手順として、「テーマを再現するギミック」をつくる。これはとくに面白いギミックをつくろうとしなくていい。なぜなら、テーマが面白ければ、それを再現したギミックは面白くなるはずだから。


「面白いルール(メカニクス)をつくりました」からはじめると、空中分解したり途中で留まっちゃったりしやすい。そこからはじめてできるひともいるけど。


ともかく、フユとおなじタイプのひとなら、(テーマを先に決めて)テーマを再現するように命をかけるのがいい。ここがうまくいけば、あとはサクサクいく。


で、ギミックができたら、テストプレイをする。まずは「ルールサマリーとサンプルキャラクターだけ」用意してあそびましょう。


(電源ゲームの)「体験版」みたいな感じ。このテストを納得できるまでやる。


(納得の)基準としては、「オレはこのゲーム超面白いと思った!」っていうところまで。そこまでいければ(この時点での)テストプレイは完了。あとは書くだけ。だから、テストプレイが完了したら、完成したも同然。


このテストプレイが終わってるなら、もう「楽しくあそべるゲームだ」ってことはわかっている。だから書き起こせば完成。発表すればデザイナーデビュー。


ここからは細かくいきましょう。まず「テーマをつくる」。これが最優先! テーマというのは、「ユーザーに味わってほしいワンシーン」のこと。“かっこいいバトル”とか“陰謀劇やりたい”とか“告白シーンをたのしくしたい”とか“異能に覚醒する瞬間に一番もりあがるやつ”とか“銃撃戦やりたい! ※ハリウッド映画ばりの火薬量”とか。「このシステムをあそぶと、こんなたのしい場面ができるんですよ!」っていうコアの部分。


ここに自分の“好き”を詰め込めば絶対に面白くなる。同じか近い好みのひとはかならずいるから、そのひとに刺さる作品をつくるには、自分の好みに合わせて練るのがいい。面白いルールとかはこの時点では不要。テーマをつくるところからやりましょう。


そしたら、「テーマを再現する」。「誰でもルールに沿ってあそぶだけで、(テーマに設定した)最高のワンシーンを味わえる」ように、ルールをつくります。


ほかのことは考えない。テーマをどう再現するかを考える。


実例を出していこう。『リヴァルチャー』の場合、テーマは「激しいドッグファイトとギリギリの空戦をやってほしい」。ドッグファイトをさせたいから、移動してる感じがでるようにしたい。マップをつかおう。マップをつかうと移動してる感じがでる。空戦だから「高度」が必要。で、「激しい空戦」っていうくらいだから、ゲームスピードは速いほうがいい。じゃあ横(方向の座標軸)はいらない、高さだけでいい。あとは、「足をとめて殴り合う」にならないように(※それだとドッグファイトにならない)、リアクションで移動するようにする。


こんな感じで、「テーマのこれを満たすためにはこうしたらいい」、「そこにはこういう問題点があるのでは?」、「なら解決策はこれだ!」っていうふうにフユは考えています。


別の例として、『アンサング・デュエット』なら、テーマは「大切なひとを異界から取り戻す」ゲームがやりたい。「取り戻す」なら、“手をひっぱる”イメージがいいよね。手をとりながら走ってくるイメージってエモいよね? フユはエモいと思う。“片方が引っ張っていく”んだからね。


で、助けるバインダーと助けられるシフターの立場をあらわすために、(判定のふるまいを)非対称にした。すると「安定して7くらいが出るし最大は12」のバインダーと、「ブレブレだし最大でも10」のシフターができる。あとは、異界のおそろしさや、キャラクターの代償を表現するために、フラグメント(と変異)のルールを入れた。


『ステラナイツ』なら、さっきいったように「ふたりの絡みを眺めたい」というテーマがあったから、プレイヤー2人用じゃなくて3人以上にする。でもそれだと奇数人のときに組がつくれないから、キャラクターを2人ずつつくって組むようにする。そのままだと2キャラクターを同時に操作しないといけなくな(り得)るから、(ペア同士が)同時に出ないよう(な構造)にする。


あとは、ヒマになっちゃうのを避けたり、よそのペアにリアクションしたりできるようにするために、「無言の“いいね”ボタン」として「ブーケ」のルールを入れた。こんな感じだから、『ステラナイツ』は、戦闘ルールは後回しだった。


こんなふうに、「一番やってほしいこと(テーマ)」を、「ルールに沿ってあそべばだれでも再現できるように」する。何回でも言う。これがいちばん大事。そのうえで、そのルールの問題点や障害になりそうな要素を解決するように調整していく。


この考えかたさえできれば、だれでもデザイナーになれる。これができないと、「このゲームのなにが面白いか?」がわかっていないということであって、発注すらできない。


この調整をするときは、はじめに決めたテーマからブレないようにしよう。


たとえば、「テーマからはずれてるけど、面白い」っていうルールを思いついた場合。“あなたにとって大事なのはどっちですか?”。


テーマだよね。「これがやりたいからこのゲームをつくる」って決めたのに、そこからずれた面白い要素を選んでしまったら、それはもう“(最初につくろうとした)あなたのゲーム”ではなくなってしまう。それは“偶然発生した面白いだけのゲーム”。


だから採用しない。もったいないからメモして、別の作品でつかったりはする。


そういうルールづくりの、コツというか実例として、たとえば「ハイスピードアクション」をやりたいんだとして、“それを再現するルールをつくればいいよ”っていっても、やっぱり思いつかないひともいると思うんですよ。


「ハイスピードアクション」をしたいなら、まずは「処理を軽く」しよう。ゲームスピードが変わると世界の重さも変わる。高速で進むゲームなら軽快な世界に見えるし、逆にじっくりやるゲームなら湿度の高い世界に見える。


で、「処理を軽く」したいから、データの数や判定の回数を減らしたりする。


たとえば命中に対する回避判定を削ると、ゲーム全体で何回分の判定が減るか、とか。


コメントにあるように、「自分の手番が早く回ってくると速く感じる」みたいな。


そして、「マップをつかう」と「移動してる感じ」がでます。目で見て移動したってわかるから。


でもマップがあると、高速機が逃げると低速機が追いつけなくなったりする。それが「やりたいこと」ならいいんだけど、そうじゃないなら、それは(ゲーム体験として)まずい。この判断は、デザイナーがやらなければならない。


(まずいから、)そこで「移動できる範囲を制限する」。つまり(どらこにあん語でいう)「ダイアクロックマップ」。


円形マップだとなにがいいかって、最大でも対角線上までしか逃げられないこと。ダイアクロックシステムは無償公開してるからみなさんつかってください。


ほかの例として、「キャラクターの関係性を描きたい」場合。


関係性を描きたいんだから、その関係性が一発でバシッと決まる要素があるといい。


フユが最近(『リヴァルチャー』で)やったのは、「パートナーをどう呼ぶ?」「パートナーからどう呼ばれたい?」を決めるようにする、ってやつ。


どういう関係性なのかを(決めてほしいなら)、(通常の)文章で書くよりも、ルールとして積んだほうがいい、ってこと。


「どう呼ぶ?」「どう呼ばれたい?」があれば、関係性が(具体的・詳細に)見えてくるじゃん。


『ステラナイツ』の「変身キーワード」もこのたぐいで、あれはふたりで考えるように(ルールブックに)書いてある。


あれを決めてもらうことで、観客からふたりの関係性がわかるようになる。


みっつめの例として、ファンタジーとかSFとかを書きたい場合。そういうときは、その世界ならではの要素……魔法とか技術とかを、最重要ルールとしてまず再現する。


「この世界の魔法はとにかく危険で、つかうときは死を覚悟しないといけない」とか。(その場合は、ルールとして)つかうと身体の一部が消えるとか、記憶が消えるとか、身体にカミサマの特徴があらわれるとか。そういうルールがあると、「やばい」ってわかるじゃん?


あとは「高すぎる目をだしたらヤバい」とか。「魔力が暴走する」みたいな。


『アルセット』の「励起」もそうだね。


話をもどして、「テーマを再現する」。これがきょうの要点。「あなたの考える一番面白いテーマ」を再現しよう。これが今回の肝になる部分です。これをとにかくがんばろう!


再現できたら、(ゲーム内で)そこにいたる過程をつくっていく。なにかしらバトルがやりたいなら、やりたいバトルを再現するルールはできているはずで、戦闘までの道中をつくる、みたいなイメージ。なぜ戦闘をするのか、どういうやりとりを経て戦闘にのぞむのか、みたいな。


そこができたら、「あそびの幅」をつくろう。


データの種類をふやしたり、設定の幅をふやしたり。


たとえば『ステラナイツ』だったら、最初のテストプレイのときは、サンプルキャラクター2体、白コスモスと黒オダマキしかいなかった。つまり色2つと花2つ。これの数をふやすとか。色や花が何種類ほしい、みたいな。


『アンサング・デュエット』だったら、三日月財団の設定を入れて「依頼されて異界にいく」流れができるようにしたり、異界のアイテムが関係するネタをあつかえるように「ストーリーフラグメント」のルールを入れたり。


そんな感じであそべるようになったら、ルールサマリーとサンプルキャラクターをつくる。まだルール本文は書いちゃだめ。絶対だめ。本文を先に書くと、あとでいっぱい書き直さなきゃいけなくなる。


最初のルールサマリーはふわっとしててOK。サンプルキャラクターのバランスも重要じゃない。この時点でテストしたいのはバランスではないので。バランスはデータがすべてそろってから最後にとる。


ここでテストするのは、「たのしいかどうか」。「思い描いたテーマどおりにゲームが動くかどうか」。


うごいたらOK。


この段階でのテストプレイをどこまでやるかってのは、「面白いわ」ってなったらOK。1回やってそうなったならもうやらなくていい。この「面白さ」というのは、主観でいいとおもう。あなたの作品なのだから、あなたが「これ最高じゃん」って思えたら、もういいとおもう。


逆に、面白いと思えるまでは、何回でも作り直す。


ほかのひとが、なにか意見をいってくることはあるし、それを受け容れるのもいいんだけど、最終的な判断はデザイナーがにぎっているべきだとおもう。デザイナーが面白いと思わないゲームはどうやっても面白くない。それは(面白いはずの)テーマからちがうモノのはずだからね。


デザイナーが主導せずに、「自分より面白いものがつくれるひとにどんどん外注していく」タイプのやりかたもあるにはある。そういうやりかたをするなら、今回の話とはぜんぜんちがうアプローチのほうがいい。


あと、テストプレイ中に、「これ追加したらめっちゃ面白いんじゃね?」っていうアイディアが出てくることも多いだろうけど、たいていの場合、それはトラップ。なかには本当に適切なアイディアもあるから、ぜんぶ捨てるのがいいというわけでもないけど、ぜんぶ拾ってもいけない。


「テーマからブレてないか」を見てください。そして、テーマからブレているなら、どれだけ面白くても排除してください。


(採用する)代わりにメモしておいて、次回作とかでつかう。


だって、(その追加要素が単体で)どんなに面白くても、(テーマから)ブレてたら、そのシステムには不要なんですよ。一番面白いテーマが再現されているなら、それで面白さは十分。そこにほかの要素を足すと、面白さの軸が複数になってしまう。そうなると、(ユーザーがそのゲームを)「どうたのしめばいいのか」わからなくなっちゃう。


ただ、もしテーマに合ってる面白いアイディアを思いついたなら、それは超ナイスアイディアってこと(だから、採用していい)。


あとは書くだけ。


この「あとは書くだけ」からはじめると完成しづらかったりする。


ライティングのコツとしては、「いちばん好きなルールブックを真似しましょう」。とくに、そのルールブックの、(要素間の記述の)順番。順番は、デザイナーがユーザーに読んでほしい順番だから。


フユの場合は、まず「はじめに」で簡単に世界の説明をして。その次はキャラクターをつくりたいよね? だからキャラクターメイク。そのあとは、セッションの進行方向、戦闘以外のルール、戦闘とかを経て、最後に世界設定。最初に「これだけで遊べますよ」というところまでもってって、あそびを知ってもらったうえで、詳細な世界を提示する。


(最終的には)世界が一番大事だとはおもうけど、「最初にゲームに入るまで」を簡単にしたい。


まずゲームの一番面白いところにさわってもらってから、「はいこれが世界ですよ」って出す。


これで本編は終わりです。このあとは質問タイムとか。(後略)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『光砕のリヴァルチャー』のシナリオ構成の考え方

『光砕のリヴァルチャー』のシナリオ構成の要点を書いていきます。

 

 

 

シナリオの軸は「戦闘」

 

『光砕のリヴァルチャー』のセッション(ひいてはシナリオ)の軸は、「戦闘」です。

(「とりあえず最後に戦闘をやって終わる」ゲームは世に数多あり、そういったゲームに多くふれていると見落としがちかもしれませんが……、)このゲームにおける「戦闘」は、展開や雰囲気の軸となっています

 

そして、この“軸”をより具体的に分解すると、このゲームの「戦闘」には、

 

  • 命がけ
  • 拠点や非戦闘員の防衛
  • 戦闘用のロボットをもちいる
  • 敵は巨大兵器
  • ふたりの共同作業

 

といった要素がふくまれています。

 

こうして見ると、(各々に“好み”はあることでしょうが)どの要素も芳醇なテイストをもっていますね。

 

これらの要素のうち、ひとつないしは複数をシナリオの“戦闘以外の部分”と絡めると、『光砕のリヴァルチャー』らしさと、シナリオに通底する一体感がつくりやすい、といえます。つまりは「プレイヤーの期待に沿うシナリオ」「遊びやすいシナリオ」に近づきます。

 

戦闘テイストの解釈と連想

 

それぞれのテイストからは、多様な解釈や連想が可能です。以下に一例を挙げます。

 

“命がけ”

 

命の危険への恐怖。自分の命とパートナーの命。それでも戦いに赴く理由。勇敢さ。死亡フラグ。実際に死んだキャラクター(NPC含む)。

 

“拠点や非戦闘員の防衛”

 

防衛対象をどう思っているのか。防衛対象からどう思われているのか。なぜ守りたいのか。防衛対象にどのような危険が降りかかると危機的に見えるか。

 

“戦闘用のロボットをもちいる”

 

ガジェット描写。発進描写。整備班との連携。管制室との連携。破損描写などをしやすい。新機体。新装備。そのほかメカニカル系の描写。

 

“敵は巨大兵器”

 

彼我のサイズ差。誰の目にもあきらかな危険性。視覚的なおそろしさ、おぞましさ。敵側のおそろしい武装や機能。どのような巨大兵器が襲ってくると危機的に見えるか。

 

“ふたりの共同作業”

 

命を預けるに足る相手か。どういう役割分担か。自分の行動が相手に影響する(ならびにその逆)。このパートナーシップの歴史は短いのか、長いのか、浅いのか、深いのか。定番のやりとりや決め台詞。戦闘にまつわるスタンスの一致している部分、一致していない部分。



趣旨の決定

 

上の例のように解釈や連想をひろげて、そのシナリオに入れたい要素が見えてきたら、それを記録しておきます。以下ではこれを「趣旨」と呼びます。

 

「趣旨」の数は、少なくとも1つ、多くとも2つくらいが、あつかいやすいはずです。(どんなに多いとしても3つが限度でしょう)

 

セッション構造を趣旨につなげる

 

『光砕のリヴァルチャー』のセッション構造は、原則ほぼ一定です(※「フラッシュバック」の有無のみ、変動的です)。

 

  • (フラッシュバック――ベータ版ルール。『Role&Roll vol.199』等に収録)
  • デイズ
  • ブリーフィング
  • ミッション
  • ミッションオーバー

 

そして、これらのうち「趣旨」を実現するために使いやすいパートは、じつのところ「デイズ」「ブリーフィング」(と「フラッシュバック」)のみです。なぜかといえば、

 

まず、「ミッション」はゲームルールとしての戦闘を進行するパートです。よって必然的に手順の確認や処理の解決が、プレイヤーとGMに負担をかけます。また、戦闘の機微がダイスであるていど左右されてしまうため、プレイヤーとGMの意図どおりの表現をできるともかぎりません。

 

つぎに、「ミッションオーバー」は、“戦闘が終わったあと”のパートです。戦闘を軸にして趣旨を決めたわけですから、この段階でできることはあまり多くありません。(「趣旨」の性質によっては不可能ではないものの、そのようなケースは全体のうち少数といえる割合でしょう。「ミッションオーバー」をひねった例としては、『ブロークン・ナーサリーライム』(『Role&Roll vol.200』収録)が挙げられます)

 

……といった事情がありますから、(「フラッシュバック」→)「デイズ」→「ブリーフィング」の流れのなかで、「趣旨」を実現することになります。

 

趣旨が1つの場合

 

この場合、“「デイズ」でネタを振り、「ブリーフィング」でそれを回収する”段取りが基本形となるでしょう。

 

たとえば、「趣旨」を「戦闘への恐怖心」としたなら、「デイズ」では恐怖ゆえに消極的・否定的で、「ブリーフィング」のなかでそれを乗り越える、といった展開が考えられます。

 

実装例としては、『光砕のリヴァルチャー』に収録されているシナリオ『day in day out』『かがやき祭り』が、どちらもこの型だと思います。(前者であれば「デイズ」が戦闘と無関係であるがゆえに趣旨=「戦闘が隣り合わせの生活」が表現されていて、後者であれば「デイズ」で“かがやき祭り”と関係性や愛着を形成したがゆえに趣旨=「その場所を守る」が表現されています)

 

「趣旨」の性質によっては、「フラッシュバック」もネタ振りの機会として使えます。

 

趣旨が2つの場合

 

この場合、「デイズ」と「ブリーフィング」が、それぞれ主に1つの「趣旨」を表現することとなります。

 

たとえば、「趣旨」を「新開発された装備」&「かつてないほど強力なソラバミ」としたなら、「デイズ」で新装備の開発や試験運用の描写をして、「ブリーフィング」で“それを使わないかぎり倒せなさそうなソラバミ”があらわれる、といった展開が考えられます。

 

もちろん、2つの「趣旨」が完全に無関係ということはふつうないはずなので(――その2つを意識的に選んだからには、なにか関連づけるヴィジョンがあったはずです)、完全な1:1対応で切り離せるわけでもありません。あくまで、考えかたの目安と思ってください。

 

実装例としては、『360 frontline』(サポートページ掲載)がこの型だと思います。「デイズ」で「リヴァルチャーをもちいた戦闘訓練」という「趣旨」を、「ブリーフィング」(と戦闘の内容)で「特殊なソラバミ」という「趣旨」を、それぞれ表現されています。(付け加えるなら、この2つの「趣旨」と戦闘の特殊ルールを合わせて、全体として「集団戦」が表現されてもいます)

 

エネミーのデータ

 

エネミーデータと切り離せるパターン

 

『光砕のリヴァルチャー』のシナリオは、それなりに高い割合で、エネミーのデータと切り離して構築できます

 

『day in day out』『かがやき祭り』は完全にそのパターンですし、『イーフェ航空艦隊救援依頼』(『Role&Roll vol.199』収録)も本質的にはそのパターンといえます(ソラバミのデータが付属してはいるものの、これはシナリオ構成と結合していません)。

 

切り離せる場合、シナリオにエネミーのデータを収録する必要はなく、つまりは作成する必要がないということです。(『イーフェ航空艦隊救援依頼』にエネミーデータが収録されているのは、ソラバミの造形ではなく特殊ルールが「趣旨」のために必要で、それと相性のよいエネミーが必要だったであろうことと、制作サイドとしてエネミーデータを拡充したい意図があったであろうことが推測できます)

 

エネミーデータと切り離せないパターン

 

一方、シナリオの「趣旨」とエネミーの造形が密接に結合している場合は、そうもいきません。『ブロークン・ナーサリーライム』や『360 frontline』がこのパターンです。

 

既製エネミーに当てはまるものがいる場合

 

「趣旨」を実現できそうなエネミーが既製データにあるなら、シナリオにはそれを参照するように記述すれば済みます。

 

既製エネミーに当てはまるものがいない場合

 

この場合は、エネミーデータを作成し、シナリオに含めるほかありません。

 

(エネミーデータの作成については、本稿の直接の主旨から外れるうえ、それ単体でかなりのテキスト量になることが予想されるため、本稿ではとりあつかいません。とりあえずわりと大変なので、うまくいかなさそうなら積極的に外注を検討するのがよいと思います)

 

特殊ルール

 

エネミーのデータと同様に、「主旨」の実現に必要なら、作成することになります。本稿ではとりあつかいません。

 

ミッションオーバー(終わりに)

 

以上が、『光砕のリヴァルチャー』のシナリオ構成の要点です。

 

いろいろなひとがいろいろなシナリオを書き、いろいろなリヴァルチャーが空を飛ぶことを願って――

 

『アンサング・デュエット』紹介 ~ “セッションするふたり”を支持するゲーム

(本稿は、かつて別の場所で公開していた記事を、編集のうえで再録したものです) 
 
 『アンサング・デュエット』(2020-10,著:瀧里フユ/どらこにあん,富士見書房刊)というロールプレイングゲーム。著者は、相対時間で約2年前(2018-09)にTRPG『銀剣のステラナイツ』をリリースしたひと(たち)です。 
 
 
  これがたいへんにすばらしいゲームなので、そのすばらしい点をいくつか、かいつまんで紹介します。
 
 

目次

 

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(イラスト:Neg)

 

 

 

どういうゲーム?

 さて、すばらしさのまえに、どんなテイストのゲームなのかを紹介しておいたほうがよさそうです。

 といっても、著者みずからによる紹介ツイートが、端的によくまとまっていますから、そちらをごらんください。 
 
 min.togetter.com
 
  しいて個人的なイメージを添えるならば(※ほんとうに個人的なものです)、『アライさんマンション』とか『イヌカレー空間』とかで、『ICO』や『レヴュースタァライト』みたいなことをするゲームです。

 あとは、プロモーションムービーを見てもらえればわかりやすいはず。
 

 

 

見どころ×3

 『アンサング・デュエット』には多くの(ほんとうに多くの)見どころがあります。今回は、そのなかでも主に3点をピックアップして紹介します。
 
  1. 「ひとり用シナリオ」と「アレンジ用シナリオ」
  2. 見開き単位の節構成と三行要約
  3. ユーザーに寄り添う姿勢

  

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(イラスト:津田沼人)   

 

 

「ひとり用シナリオ」と「アレンジ用シナリオ」

  • ひとり用シナリオで、ゲームの雰囲気とルールがわかる
  • アレンジ用シナリオで、シナリオ作成の要点がわかる
  • 心理的障壁を飛び越えるジャンプ台

 

  『アンサング・デュエット』は、主にふたり用のゲームです。
 「[バインダー]を担当するプレイヤー」と「[シフター]を担当し、進行をつかさどるゲームマスター」のふたりです。(ゲームマスターとシフター担当を別建てするオプションルールもありますけれど)
 
 そのうえで、ひとり用シナリオが収録されています。これはおもに「ゲームを実際に体験し、雰囲気やプレイの流れをつかむ」ことを「ひとりでできるように」するべく用意されているもの、と読み取れます。

 つまり、TRPGコミュニティでいうところの「体験会」「体験卓」、あるいはボードゲームでいう「インスト」、電源ゲームでいうチュートリアルなどに相当する役割です。

 これは会話型ゲームにおける「実際にやってみないとわかりづらい」しかし「ひとりでは“やってみる”こともできない」という課題への対策であり、実際のところ、たいへん効果的な手法だとおもいます。
 「やったことがないからよくわからない」状態で他人を誘う/他人に誘われるのは、しばしばむずかしい場合もあるでしょうけれど、それをおおきく緩和する効果が期待できます。
 
 この試みにはおおきな自信があると見えて、まず、「シナリオセクション」のたぐいではなく、一番最初にある「はじめに」のセクションに置かれているのが印象的です。そして、前述のような「チュートリアルを必要としている層」にかぎらず、すべての読者が自然と通過することを推奨しているようにすら読めます。
 内容はそれに足るものであり、この“ひとり用シナリオ”を“通過”するだけで、ゲームの雰囲気から進め方までを、ほとんど体感・体得できるようになっています。すばらしい。
 
 シナリオに関しては、もうひとつ印象的な試みがあります。それは「アレンジ用シナリオ」です。
 (なお、この本には、「(前述した)ひとり用シナリオ×1」「実際にふたりで遊ぶ用のシナリオ×5」「アレンジ用シナリオ×1」の合計7本が収録されています――つまり、「ひとり用」や「アレンジ用」のために通常シナリオ用の紙幅が犠牲になっているとはいえないくらい、シナリオが充実しています)
 「アレンジ用シナリオ」とは、「おおまかな前段設定や状況の変化のさせかたなどを整理して提供したうえで、細部をユーザーがあらわすことでシナリオとして完成する」企図のコンテンツです。
 TRPGコミュニティでは、「他者の(おおくは公式の、でしょうか)シナリオを換骨奪胎して別のシナリオとする」あそびかたがしばしば見られます。ようするに、あれを推奨するのが、「アレンジ用シナリオ」です(――既知の概念でいえば、「シナリオフック」が近いでしょうが、もっと踏み込んで、完成までの見通しをたてやすくなっているものです)。
 アレンジ用シナリオ内の記述を読んでみると、ただ穴埋め的にワークをうながすのみではなく、「『アンサング・デュエット』におけるシナリオ・デザインの要点」が提示されています。いわば「実践教材つきのシナリオ作成ガイド」的な仕立てですね。
 ガイドと実際の作成が、ごく密接していますから、「アイディアはあるけどどう具体化すればいいのかわからない」みたいなことは起きづらいとおもいます。すばらしい。
 
 これら「ひとり用」「アレンジ用」に共通するのは、「(セッションの/シナリオ作成の)第一歩を踏み出しやすくする」思想でしょう。そこの心理的障壁(=未知ゆえのおそろしさ)を飛び越えるためのジャンプ台が用意されているのが、『アンサング・デュエット』というゲームです。
 

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(イラスト:風街いと)  

 

 

見開き単位の節構成と三行要約

  • ほとんどの説明が見開き単位
  • 見開きごとに三行要約がある
  • この本を読むことがストレスにならない

 

  この『アンサング・デュエット』というゲームは、内容(ルールやフレイバー)のみならず、紙面構成にもかなり工夫が見られます(――たとえば、前段で説明した「『はじめに』セクション内のひとり用シナリオ」もそのひとつです)。
 
 紙面上の工夫のなかでも、とくに象徴的な要素のひとつが、「見開き単位」「三行要約」です。(※ここで言う「見開き」というのは、本を開いたときの左側ページと右側ページを合わせた単位=まとまりのことです)
 「見開き単位」でまとめられているため、「ページをめくるときに記憶をリセットしてよい」「なにかを調べる際に複数ページにわたる必要が(あんまり)ない」性質があります。つまり、読み手(ユーザー)の負担がちいさい。これはかなり徹底されていて、シナリオセクションをのぞけば、9割5分以上の見開きはこの形におさまっているはずです。
 そして、各見開きには、「三行要約」が冒頭にあります。その見開きの要点が3行にまとめられている、ということです。これもまた、読み解く際の負荷と、調べる際の負荷を減らす効用があります。
 『アンサング・デュエット』は、「見開き単位」「三行要約」というふたつの工夫によって、「この本を読む際のストレスが最小になるように努められています。前項で述べた「ひとり用」がセッションのハードルを、「アレンジ用」がシナリオ作成のハードルをそれぞれさげるとするならば、これは「ゲームに触れる」こと自体のハードルをさげています

 そうそう、巻末の索引を見ても、1/3ページくらいしかないんですよ。索引の面積が。そのくらい「ルールを掌握する負荷」が減らされています(――ちなみに、どちらかといえば、巻頭の目次のほうを使う機会のほうが多いとおもいます)。
 

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(イラスト:mokoppe)   

 

 

ユーザーに寄り添う姿勢

  • ユーザー感情を支持する姿勢
  • 創造を応援する姿勢
  • 「表現したいものを表現できるように」

 

  ここまで紹介してきた点からも伝わっているかともおもいますが、『アンサング・デュエット』は、ユーザーに寄り添うことを是とし、その姿勢を直接的・具体的に示しているゲームです。
 
 たとえば、このゲームには「ロスト」(※一般的なゲーム語同様の「キャラクターの永続的喪失」を意味します)の概念があります。ロストしたキャラクターでは、もうあそべません……が、「それは絶対ではない」のです。「ルールとしては、ロストしたキャラクターではあそべない」としても、「ユーザー本人の感情はルールよりも優先される思想」が、それを覆し得るのです。
 実際、こんにちのTRPG界隈などで「ロストからの再起(※復活でも救済でも何でも同じです、ニュアンスが同じならば)」をもとめる例がしばしば見られるところからしても、ユーザー感情として受け容れづらいロストというのはあるわけです。そこでルールよりも感情を優先する判断をルールが支持できるのは、ゲームデザインとしては英断と呼ぶに値します。(もちろん「ロストは不可逆だから意味がある」と考えるのもまた自由かつ自然な感情のひとつであり、それもまた支持されるところです)
 
 たとえば、「空気が気まずくなったらセッションをやめよう」という旨の提言が、再三にわたって散りばめられています。
 これは、こんにちでは自然な選択肢のひとつとして推奨されるようになってきていますね。ですが、ひとむかし前ではむしろ(明示的にではないにしても)否定される向きの強かった行動だったとおもいます。そこに踏み込んで、当事者の感情を支持しているのは印象的です。
 『アンサング・デュエット』がこれをできるのは、ほかでもなく「ふたりだけのゲーム」――「参加者だけのゲーム」なら「ほかの参加者」への配慮が必要でしょうけれど、このゲームは参加者が原則ふたりだけ――だからであり、またワンプレイが1時間ほどのゲームだから(※数時間におよぶ行為をなかったことにするのはインパクトがおおきい)でもあり、多分に前提の後押しを受けてではあるのでしょうが、それでもユーザー感情を支持する姿勢は、特筆に値すると考えます。
 
 これらの支持が志向するのは、ゲームプレイであり、そしてゲームプレイを通しての、あるいは前段の(シナリオ作成など)、あるいはアフターの(セッションに対するファン活動など)、「創造」です。「自己の表現」などと言い換えてもよいでしょう。

 わたしが読み取るかぎりの『アンサング・デュエット』のデザイン方針を、ひとことであらわすのならば、「表現したいものを表現できるように助ける」ことにあるとおもっています。本文中にもあるように、ロールプレイングゲームの特長のひとつは「プレイと創造(表現)の距離がちかい」(境界があいまい、とも言い換えられる)点です。そこに着目し、応援するのがこのゲームだとおもいます。
 

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(イラスト:橋本洸介)   

 

 

そのほかの見どころ

  • 没入への配慮と専門用語アトモスフィアの排除
  • 実用に適したシナリオフォーマット
  • エレガントな感想推進&経歴記録ルール

 

 用語の取捨選択が、かなり繊細にコントロールされています。
 たとえば「TRPG」「PL」「PC」「nDm」などの文字列は(見落としてなければ)出現しません(――「ロールプレイングゲーム」「プレイヤー」「ダイス」は出現します)。
 あと、これも見落としてなければですが、「ルールブック」という表現も、使われていない気がしました。「専門用語による難しそうな空気や身内感」を排除したかったのだろうとか、「ゲームタームが没入を阻害するリスク」に敏感なのだろうとか、いろいろな想像ができます。既存のTRPG観と地続きにしたくなかったんじゃないか、とも。

 「プレイヤーの知識を問う謎解きは絶対にNG」(大意)みたいな記述もあって、これもおそらく、「プレイヤーを主体にすることで表現のレイヤーが犠牲になるリスク」を避けようとしているんじゃないかなぁ、とか。 シナリオのフォーマットも、かなり工夫されています。
 「最初の2ページはプレイヤーが読んでいい部分」と定めているのは、地味ながら革新的です。“プレイヤーに見せるべき情報と同じ見開き内に(プレイヤーが見るのは推奨されない)核心が掲載されている”シナリオとか、たまにありますからね。これもストレス要因を排除する一環、とも言えるでしょう。
 「シナリオのネタバレや配信をしてもいいかを定める項目」を、シナリオのフォーマットに組み込んでしまうのも、うまいアイディアだと感じました。“アナログゲームのシナリオネタバレの是非”は、SNSで近年よく議論されている部分であり、議論の余地をルールで解消したのは力強い判断だとおもいます(……ただし、項目名が「シナリオの公開」なのはちょっとうまくないとおもいます。「公開」の語がもつ一般的イメージと、実際の項目があつかう領域に、ズレがあるので)。
 項目には「推奨する関係性」「異界の発生原因」(≒事態のバックグラウンドをあらわすひとこと)「シフターの作成」(=救助対象キャラがシナリオ規定かユーザー任意かどっちでもよいか)などもあって、どれも「そのセッションをどうあそべばよいか」をごく端的にあらわせる、よくできたフォーマットです。読み手に解釈の手間をかけさせませんし、誤読する危険も減ります。これも低ストレス施策といえます。
 
 ところで、このゲームには「フラグメント」という概念があって、それは「そのキャラクターをそのキャラクターたらしめる要素」を意味します。「元軍人であり武器の扱いに長ける」とか「困っているひとを守らずにいられない」とか「スポーツ大会で優勝した経験」とか「顔がいい」とか「婚約者がいる」とか。セッション中に増えることもあって、上限数を超えたものは[たいせつな思い出]というゲーム外領域にプールできます。
 『アンサング・デュエット』にも、「セッションの感想をSNS等で発信するとちょっとお得」系のルールがあり――ずばり、「シナリオタイトルを添えて感想を発信すると、タイトルと同名のフラグメントを獲得できる」ルールです。
 これはきわめて(ほんとうに、きわめて)クールな発明といえます。なにがすごいって、前述のフラグメント&[たいせつな思い出]のルールと組み合わせると、「自然とセッションの遍歴がキャラクターシートにのこる」のです。フレイバー的にもメカニズム的にも意味のある、ゲームの主旨にのっとる形で。感想をもとめるシナリオ発表者と、記録をのこしたいシナリオ使用者の、利益を一致させているわけです。感想推進系の仕掛けとしてたいへんにエレガントです。
 

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(イラスト:cinkai)   

 

 

まとめ

 

  •  ユーザーのやりたいことをやりたいように支持するゲーム
  •  理解や読解の負荷が最小になるように努められているゲーム
  •  第一歩をふみだしやすいゲーム
   www.amazon.co.jp 
  この記事は、瀧里フユ/どらこにあん・株式会社KADOKAWAが権利を有する『アンサング・デュエット』ファンキットの画像を使用しています。
©Fuyu Takizato / Draconian
©KADOKAWA